UAV(ドローン)による測量、何ができるのか?

2010年代前半から急速に普及した無人航空機「UAVUnmanned Aerial Vehicle)」、通称ドローン。

UAVは測量の現場でも、国土交通省が主導するi-Construction(建設現場でのICT活用を促す取組み)の推進を受け、積極的に活用され成果を挙げています。

 

UAVでどんなことができる?

UAVによる測量で何ができるかは、端的に言うとUAVにどのような機器を搭載するかによって決まります。

デジタルカメラ

空中からデジタル写真を撮影。そのまま調査範囲の把握に用いたり、複数の画像をソフトで合成し、位置ズレのないオルソ画像を作成したりします。

建設工事における起工測量や出来形測量といった施工管理、遺跡の発掘調査における現況把握など幅広い用途に用いられます。

 

レーザスキャナ

上空から多数のレーザを照射し3次元計測を行います。樹木や草木の間を通ったレーザが地表面まで到達するため、緑に覆われた山肌の起伏もとらえることができます。

樹木を伐採する前の建設現場の測量や、土砂災害現場における土砂量・被災状況を把握する為の測定などにも活用できます。

 

グリーンレーザスキャナ

水を透過するグリーンレーザにより、河川や海岸付近など、浅瀬における水底の地形の3次元計測ができます。水部と同時に陸部の地形も計測可能なため、一度の飛行で水陸のシームレスな地形データを取得できます。山間部の沢の地形把握や砂浜の浸食状況の調査等に適しています。

 

上記の他、利水社では赤外線カメラを搭載し、太陽光パネルの点検を行った実績もあります。

 

UAV測量のメリット

UAV測量は、人力による地上測量では膨大な時間がかかる作業を、短時間・広範囲に渡って行うことができます。

また、山地や災害現場など、人が入ることが危険な区域でも、安全かつ効率的な計測が可能です。

有人の航空機による測量と比較した場合も、航空機では1㎡あたり数点のデータしか取得できないのに対し、UAVでは400点以上という緻密なデータを取得することができ、加えてコスト的にも格段に安価になります。

ただし、構造物の角の位置などを正確に計測し、建物の設計等に必要な図面を作成する場合は地上の測量が不可欠となります。また1㎢を超える広範囲には航空機による測量のほうが適しています。

UAVで出来ることは飛躍的に増えましたが、あくまで適材適所の測量を行っていく必要があります。

 

UAV測量の手順

UAVによる測量を実施する場合、まずは事前に現地に赴き、どの範囲を飛ばすか、飛行の障害となるものがないか等の確認を行います。

次にパソコン上で飛行経路のプログラムを作成。測量当日は、UAVが正しい方向を検知し、水平が取れているか等を調整する作業(キャリブレーション)を行った後は、このプログラムに沿ってUAVが動き、データを取得していきます。そして再びパソコン上でデータを処理し、各種図面等を作成していくという流れになります。

もちろん、施設の上を飛行させる場合はその施設の許可が必要となりますし、人口密集地や空港周辺など特定の地域上空を飛行させる場合は、航空局の許可や資格(民間または国家)が必要となります。

利水社の技術者も許認可や資格を取得したうえで、安全に十分配慮し操縦を行っています。

ライブカメラとレーザを併用した事例も

最後に、利水社が携わった特殊なUAV測量の事例をご紹介しましょう。

こちらの業務は、砂防の改築に必要となる土地の測量のために、UAVを利用し、土地の所有者を明確にする境界確認を行ったものです。

対象となった土地が人の踏み入ることが難しい急峻な山中に位置していたため、UAVカメラからのライブ映像を地権者に見ていただき、境界を確認していきました。

また、同時に搭載したレーザスキャナの計測により、草木に隠れていた地表の赤道(あかみち=古くから人が通っていたものの道路として登録されていない道)を見つけることができ、境界の判別に大いに役立ちました。

ドローンの利点が最大限に活かされた事例と言えます。

測量の可能性を広げ続けているUAV。利水社は今後もUAVを利用した測量技術の向上に努め、安全かつ効率的な調査をご提供していきます。