能登半島地震レポート〈7〉―健康の森の復旧に向けて―

 

 

石川県輪島市三井町洲衛にある”石川県健康の森”。

のと里山街道の能登空港I.Cから車で10分ほどの位置にあります。

 

これまでの利用者は年間で1~3万人を数え、

テントキャンプ場では大自然に囲まれた中でテントを張ってキャンプをしたり、

バーベキューをしたり、バンガローにて虫の声やウグイスの囀りを聞いたり・・・

多くの人がにぎわう場所でした。

 

また、奥能登の山地に位置しているため町の明かりの影響がなく、夜には満天の星空が広がります。

 

2024年1月1日の地震、そして同年9月の能登半島豪雨は、

この憩いの場にも大きな爪痕を残しました。

 

園内の道路は大きな裂け目が生じ、ところどころが隆起、沈下していました。

また、2棟ある炊事棟は倒壊しバーベキュー舎、バンガローは倒壊を免れたもののすべての施設が復旧を必要とする状態となりました。

大きく崩壊した炊事棟

レンガやベンチが散らかったバーベキュー舎

 

利水社では健康の森の復旧に向けて、施設内および周辺の道路の測量設計業務を手がけることになりました。

測量を通して、健康の森内の被災の状況を詳細に把握することを主な目的としています。

必要な機材を準備中・・・

実際の測量の様子

設けた基準点をもとにトータルステーションを設置し、1つ1つの点を測量していきます。

道路や建築物(バンガロー等)のような大きな枠組みのものから、

道路の曲がり点、マンホール、クラック(アスファルトの地割れのこと)等、ピンポイントなものまで。

 

昨年度の豪雨の影響でしょうか。

土砂や落ち葉に覆われている箇所も多く、それらを払ってマンホールやクラックを見つけだすこともありました。

 

測量した点は2000点以上に及びます。

電子平板。トータルステーションで測量された点がリアルタイムで反映され、図面がつくられていく。

 

今回の測量では、このような図面ができました。

測量で得たテントサイトの平面図。
道路や建築物、駐車場所の詳細な輪郭や位置関係が見てとれます。

ログハウスサイト付近の平面図。
赤線がクラック。道路部分が大きく割れているのがわかります。

今後はさらに中心線測量や縦断・横断測量を実施し、より立体的に詳細な現況の把握を目指します。

 

 

また、キャンプ場から少し離れたところにある林間広場では地震による地滑りが見られました。

大地は大きく底へなだれ込み、あちこちに大きな亀裂が生じ、木々がなぎ倒されていました。

 

写真では伝わりにくいかもしれませんが、とても規模の大きい地すべりです。

 

震災から約1年半、

まだまだ残る爪痕に、大自然の脅威を感じずにはいられません。

 

かつての憩いと学びの場を取り戻すための道しるべとするべく、利水社では引き続き業務を

進めて参ります。